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第45回科学諮問委員会を広島放影研で開催 統計部を重点評価

記者会見にて会議の概要を説明する甲斐倫明共同座長[左から二番目] (写真左上)

熱心にメモを取るマスコミ関係者(写真左下)

第45回科学諮問委員会の出席者[比治山ホールにて] (写真右上)

放射線影響研究所(放影研)の研究の方向性について、第三者的な立場で勧告する科学諮問委員会の第45回会議が、2018年3月8日から10日までの3日間、放影研の広島研究所で開催されました。この委員会は日米10名の外部専門家で構成され、毎年この時期に開催されます。原爆被爆者の長年にわたる追跡調査のデータに基づく調査結果は膨大なため、科学諮問委員会の審査は全研究部を一度にまとめず、毎年部を替えて行います。今年は統計部が重点審査の対象となるため、通常の日米10名の科学諮問委員(今回はうち2名欠席)に加えて、ゲノミクス、予防医学および生物統計学の専門家3名が特別科学諮問委員として参加しました。

初日の3月8日、丹羽 太貫 理事長の開会のあいさつにより会議が始まりました。Robert L. Ullrich副理事長兼研究担当理事が、前回の科学諮問委員会の勧告への対応と放影研の研究活動について報告。また、戦略計画、およびその中で放影研の中核調査(原爆被爆者の健康に対する原爆放射線の後影響の調査)と定義される「使命に基づく」研究と線量推定研究を継続することの重要性について説明しました。次に、2016年に組織した「リサーチクラスター」に関わる大規模な再編を放影研が開始した経緯を説明し、2018年に新クラスターに基づく研究体制を本格的に運用し、2019年度にこの新しい体制に全面的に資金が提供される予定であると報告しました。さらに、設立が計画されている研究資源センターなど、放影研のインフラに関しての発表、他機関との共同研究を実施する際や放影研の将来における当該センターの重要性についての報告も行いました。続いて、昨年重点審査の対象であった疫学部が、昨年の勧告に対する対応を発表しました。最後に、3つのリサーチクラスター(がん、非がん、遺伝)に関する発表が、それぞれ行われました。

会議2日目の3月9日、Harry M. Cullings統計部長が部の概要を発表しました。また、同部の他の研究員が、寿命調査(LSS)における農村部と都市部を対比した被爆による交絡の可能性、放影研の長期追跡調査における統計解析、集団に基づく複雑な対象者抽出を用いる成人健康調査(AHS)における因果モデルと媒介解析の問題、および放射線発がんの生物学に基づくモデルについての詳細な発表を行いました。Cullings部長は放影研の「臓器線量推定プロジェクト」について、DS86/DS02線量推定方式が古くなったために臓器線量推定方式が新たに必要になった旨を説明し、統計部の発表を締めくくりました。この日最後の発表は、丹羽理事長、Ullrich副理事長、そして最近業務執行理事に就任した兒玉 和紀 理事による、放影研の戦略計画の将来的な運用全般に関する説明でした。

最終日の3月10日、科学諮問委員会は放影研に対する勧告について審議しました。その後、報道機関7社が参加した記者会見が開かれ、会見の冒頭、科学諮問委員会の共同座長である甲斐 倫明 委員(大分県立看護科学大学 人間科学講座 環境保健学 教授)が、3日間の審議の概要を説明しました。もう一人の共同座長であるNilanjan Chatterjee 委員(ジョンズ・ホプキンス大学 医学部 腫瘍学部 ブルームバーグ公衆衛生大学院 生物統計学部 ブルームバーグ特別教授)も会見に出席しました。記者会見では、主要な勧告として以下のものが紹介されました。

・レベルの高い調査を実施し、3つのリサーチクラスター間の共同研究の機会を多く提供するためにリサーチクラスター体制を進めること
・放影研の生物試料を効果的に使用するために戦略計画を実行すること
・ゲノミクス、バイオインフォマティクス、計算生物学などの分野の技能を有する職員を優先的に採用すること
・研究員の意見を聞くために若手研究員と科学諮問委員が非公式に話し合える方法を考えること
・福島など、国内外の種々の放射線被曝に関する協力を介して放影研の調査の影響を拡大することにより、放影研の調査結果を社会に還元すること
今回の出席者は以下のとおりです。

科学諮問委員
Nilanjan Chatterjee:米国ジョンズ・ホプキンス大学医学部ブルームバーグ公衆衛生大学院腫瘍学部
生物統計学科 ブルームバーグ特別教授(共同座長)
甲斐 倫明:大分県立看護科学大学人間科学講座 環境保健学研究室 教授(共同座長)
酒井 一夫:東京医療保健大学東が丘・立川看護学部 教授
山下 俊一:長崎大学学長特別補佐 兼 原爆後障害医療研究所 教授
権藤 洋一:東海大学医学部基礎医学系 分子生命科学 教授 兼 国立研究開発法人理化学研究所 筑波研究所 バイオリソースセンター 新規変異マウス研究開発チームチームリーダー
永田 知里:岐阜大学大学院医学系研究科 疫学・予防医学分野 教授
Anatoly Dritschilo:米国ジョージタウン大学医学部放射線医学教室 主任兼 教授
Francesca Dominici:米国ハーバード公衆衛生大学院学部長室 研究部門上級副学部長 兼 生物統計学部
生物統計学 教授(欠席)
Jonine Bernstein:米国Sloan Kettering 記念がんセンター生存・転帰・リスクプログラム担当疫学者
兼 共同リーダー(欠席)
Curtis Harris:米国国立衛生研究所・国立がん研究所がん研究センターヒト発がん研究室 室長
および分子遺伝学・発がん部門部長

特別科学諮問委員
Julie Gastier-Foster:ネイションワイド小児病院ゲノム医療臨床研究所専務理事
兼 病理・臨床検査医学副理事長
Duncan Thomas:南カリフォルニア大学ケック医学部 Verna R. Richter記念教授(がん研究)兼予防医学教授
柳川 堯:久留米大学バイオ統計センター 客員教授

監事
河野 隆:弁護士法人広島総合法律会計事務所(広島公認会計士共同事務所・広島総合税理士法人)
Paul Thrasher:公認会計士、財務コンサルタント

オブザーバー
蓑原哲弘:厚生労働省健康局総務課 原子爆弾被爆者援護対策室 室長
海老名 英治:厚生労働省健康局総務課 課長補佐
Isaf Al-Nabulsi:米国エネルギー省環境保健安全保障局 保健安全部 上級技術顧問・日本プログラム主事
Ross Matzkin-Bridger:米国エネルギー省エネルギー担当官・日本事務所代表
Gregory Symmes:米国学士院学術会議 地球生命研究部門 常任理事
Charles Ferguson:米国学士院学術会議 地球生命研究部門 原子力・放射線研究委員会 常任幹事
Rania Kosti:米国学士院・工学院・医学院原子力・放射線研究委員会上級プログラム担当官
James Ziglar:Van Ness Feldman法律事務所主席弁護士、移民政策研究所(ワシントンDC)上級研究員兼理事、Ziglar グループ(ワシントンDCおよびフロリダ州シンガーアイランド)社長(放影研評議員)
早野 龍五:東京大学名誉教授(放影研評議員)
田邉 修:東北大学 東北メディカル・メガバンク機構 ゲノム解析部門 教授

放影研
丹羽 太貫:理事長(代表理事)
Robert Ullrich:副理事長兼研究担当理事
兒玉 和紀:業務執行理事
Eric Grant:主席研究員
Douglas Solvie:事務局長